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「金は……バイト先に前借できないか頼んでみます。いつまでもへこんでばかりいられないし」
前向きな心。綺麗な心。純粋で、穢れを知らなくて、どれもがもう自分にはないもの。
私は汚れきっていた。騙して手に入れた金など、特に使い道もなく遊んでいる。
「ねぇ、お金貸してあげましょうか?」
「え? いいです。そんな、知り合ったばかりの人になんて借りれないし。いざとなったら母親に土下座でもしますから」
青年は乗ってこない。でも、言いくるめるのは得意である。
「世の中そんなに上手くいかないわよ。バイト先で前借なんでできないだろうし、母親は失望して、この先、何かあるごとに財布を盗まれたことを責めるでしょうね」
「そう……かもしれないけど、自分がいけなかったから」
「そうかしら」
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