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翌朝、わたしは少し緊張していた。
あのあと、カレはチョコレートに気づいただろうか。
気づくよね、ふつう……
食べたかな、それとも、捨てられたかな、やっぱり。
そんなことを思っているうちに、電車はカレの駅へと止まった。
わたしはいつものようにカレの姿を見つけて、扉が開くと同時に、カレのもとを目指した。
今日はあいにく、わたしが顔をうずめたのは、吊革をつかむカレの背中だった。
でも、これもまた幸せ……
目をつむってカレの背中を感じているうちに、車内にカレの降りる駅がアナウンスされた。
あーあ、今日もまた、お別れだね。
そして電車が止まったとき、いつもとは違うことが起きた。
カレが、いつもの駅で降りなかったのだ。
窓の外に目をやると、やはりそこはカレの学校がある駅だった。
今日は、どこかに用事でもあるのかな……
とにかく、電車はわたしとカレの二人を乗せたまま出発した。
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