桐生 棗

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だって、桐生のあたしに対する笑顔は、嫌悪しか伝わって来ない。 それが悔しいのか、悲しいのか……。 「もーやだ桐生、俺先教室戻っちゃうから! じゃね満田さん、また遊び行くわ」 「あ、うん。 待ってるね!」 爽やかに去って行く野村くんに手を振る。 自然と二人きりになったあたしと桐生。 当然、桐生が纏う空気感も変わってくる。 「……なんで好きなのか理解出来ない」 「え?」 「おまえみたいな女」 それは、野村くんに言ってる様に見せかけてのあたしへの侮辱ですかね? それに反論することなく、無言で教室に戻った。 その後の桐生の言葉が予想出来てしまったのだ。 どうせ、「おまえみたいな女俺は大キライだけど」とか言うんだ。 自分の気に食わないやつには、容赦ない。 ひたすら鞭鞭鞭鞭。 桐生 棗は、そんな男だ。 そんな男があたしは昨日より更に大キライになった。
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