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僕は彼女を殺したあと、首と胴体、両腕と両足をそれぞれ切断し、さらにそれらを、冷蔵庫に入る大きさに切り分けた。
それから石膏でそれぞれの型を作って、溶かしたチョコレートをその型に流しこんだ。
そして冷蔵庫でしばらく固めてから、チョコレート同士をくっつけたのだ。
切り分けた彼女の体は、腐ってしまう前にビニール袋に入れて、捨ててしまった。
彼女が着ていた、高校の制服だけは取っておいた。だって、彼女の匂いがまだ、残っていたから。
僕はこれからずっと、チョコレートになった彼女と一緒にいられるのだ。
そう思うと嬉しくなって、笑いがこみ上げてきた。
「でもね、キミをチョコレートにしてしまおうと思いついたのは、キミのおかげなんだよ」
僕は彼女の耳元で、そっとささやいた。
「キミが、あんな男のポケットに、チョコレートを入れるところを見てしまったから」
chocolat [ noir ] ―了
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