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何事もなかったように、僕はエレベーターに乗って、自分の部屋へと帰った。
ドアを開けると、外と同じくらい冷たい空気が満ちている。
薄暗い廊下を、僕はキッチンへと向かった。
冷蔵庫を開けて、その中から、焦げ茶色の塊を丁寧に取りだす。
そしてその塊を持って、僕は寝室へと入った。
寝室のエアコンからは、僕が設定したとおり、19度の冷たい風が吹きだしている。
照明を点けると、ベッドの上に「彼女」の姿があった。
そこには、首から上の部分がない、女の体が横たわっている。
女の体は、僕が今、手に持っている塊と同じ色をしていた。
部屋の中には、甘い香りが漂っている。
チョコレートの、甘い香りが……
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