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俺が読んでいる雑誌には、入学式で騒がれた男が載っていた。
今度の学園映画出演にあたり、彼と他の生徒役との談話が数ページに渡り掲載されていたのだ。
「撮影の合間の過ごし方は? みんなで色々話してたよね。私生活のこととか、家族のこととか。Ryuはお兄さんがいるんだよね。確か1つ上の。Ryuのお兄さんなんだから、ものすごくカッコいいんだろうなぁ。俺は父親似で、兄さんは母親似だからそんな似てないよ。俺をカッコイイ系とするなら、兄さんはキレイ系だな」
一部を音読してみたが、秋はさして興味がなかったようで、本を読んでいる。
「同じこと言ってんじゃん。さすが兄弟」
「先輩、ただ雑誌の談話音読してもわかりにくいだけなんですけど」
とは言うものの、やはり聞く気はないようで、目線は本から離れない。
「【恋愛について】《 俊 恋愛?好きなタイプとかってこと? 》《洸夜 最近恋愛してないからなぁ。タイプとか忘れた。Ryuは?》《 Ryu 俺?俺は、なにやっても完璧で、ずっと俺が追える人。》 だってさ」
今度はわかりやすいように音読する。
声を少し変えるというおまけ付きだ。
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