わたし・1

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 茂みの中から、光が漏れている河原を覗きこもうとした。 「よぉ、お嬢ちゃん。なにしてんだい?」 「……ッ!?」  不意に掛けられた声に思わず飛び上がりそうになった。  視線を巡り合わせてみるが、周囲に人はいない。  思い切って立ち上がってみるが、正面にある河原にはたき火と荷物があるだけで、人の姿はなかった。 「天然かい? 上だよ。上」  少し気怠そうな声が頭上からした。  顔を上げてみると、太い幹の上に寝そべるようにして男がいた。  幹で体に隠れ顔の半分しか見えないが、少し眠たそうな表情をしている。  あぁ……確かに、今は夜もだいぶ更けている時間だ。  普通の人間では寝ていて当然の時間かもしれない。 「やれやれ、本当にこんな森に人がいるんだなぁ」  男は面倒くさそうな声を出しながら、幹から飛び降り私の前に降り立った。 「お嬢ちゃん」  半眼となり、男は至極面倒くさそうに私を見下ろしていた。  無精髭が目立ち、とても精悍という印象は持つことが出来なかった。 「は、はい……」 「君……人間?」 「え?」  胡乱げな視線が値踏み……いや、特に感情を宿さずに彼女の事をゆっくりと見ていた。 「あ……あの……」  どう答えればいいのか分からずに、オロオロとしていると、男は大きくため息をついた。
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