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「ま、いいけどね。はい、私は人間じゃないです。なんていう奴がいたら、見てみたいもんだね」
彼は欠伸をしながら、私の頭にポンッと手を置いた。
「あの……」
「まぁ、とりあえず座らないかい?」
面倒くさそうに彼は後ろを指さしながら言った。
反射的に私が頷くと、そのまま彼は背を向けてたき火の方へと歩きだした。
手をポケットに突っ込み、ふらりふらりと歩くそぶりはあくまでやる気が感じられなかった。
彼は私に無防備な背を向けてそのまま歩いて行く。
といっても、私が彼に何かすることはない。
向こうもそれが分かっていての対応なのだろうか?
とりあえず、いわれるままに私は彼の後をついて行くしかなかった。
「どっこいしょっと……」
年寄りのような口を利きながら、彼はゆっくりと大きめの岩に腰掛けた。
「ほら、なにしてんの?」
座った、座ったと、彼はやる気なさげに小さくなりだしていた焚き火に枝を投げ込んでいった。
戸惑いを隠せないままに座ると、彼は1本の火が付いた枝を持ちあげた。
それをゆっくりと振るようにしているそれを見ると、なんだか不安になってくる。
この男は、なぜこのような危険な森にいるのだろうか?
「こいつに慣れちまうと、口が寂しくて駄目なんだよねぇ」
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