幼少期

14/37
前へ
/40ページ
次へ
「さて、坊主の初仕事だ。お前らも見てとけ」 「よし、じゃあ。始めるよ」 レオ君は親方のマネをして白いタオルを頭に巻き、腕まくりをして紐でくくってから作業を始めました。 レオ君は金属に向かって全力で挑んでいきます。 製造する武器は魔武器とは違うところがあります。 一つ目は魔物の素材を使用するので、何かしらの能力がつくことがあることです。 魔武器だとその人の適正にあった能力や武器になりますが、適正にあった能力や武器が自分の使いたい能力や武器とは違う人がいます。そのような人は製造武器を使います。 ちなみにレオ君やシオンは例外です。 二つ目は手入れをしたり、壊れることがあるということです。魔武器だと自分の魔力で元に戻ります。製造武器だと魔方陣を刻んで魔力を注ぐことで修復させることは可能ですが、技術料でかなりお金がかかるようです。 しかし、魔武器を作るよりは安いので製造武器を使っている人は多いようです。魔方陣が壊れると修復できないようですが、その状態からでも修復できる魔方陣があるのでそれを利用して修復するとか。 三つ目は魔力がつかえないところでも使えるということです。能力を発現させられませんが、護身用としてはとても重宝します。 さて、レオ君の作業を見てみましょう。 「……」 誰一人として口を開きませんでした。いえ、開けませんでした。 そこにはただひたすらレオ君の作業音だけが支配していました。 ただ黙々と、真剣に、魂を込めるかのように必死なレオ君の姿がそこにはありました。 そして、時間だけがレオ君に引き込まれること無く過ぎていきました。 「……よし、完成」 「スゲェ……」 弟子の一人が思わず声を出しました。 レオ君の手には、赤黒い波紋が広がる刀紋が見事な漆黒の日本刀の刀身が乗せられていました。 「オイオイ、坊主。俺の作品より恐ろしいもの作り上げてるじゃねぇか」 「だか、ら、言った、でしょ、親方を超え……る、って……」 「おい坊主!」 レオ君はにっこり笑いながら倒れました。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加