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石灰岩に魔力が練り込まれた物質、魔硝灰岩。
大雑把に説明すると、含まれる魔力が多いければ多いほどガラス状になる性質が付与された石灰岩です。特に重要なわけでもありません。
この魔硝灰岩で形成された3000m級の山々が連なり、その山々には鋭く尖った赤や青、黄色の葉を茂らせる木々が繊毛のように生えています。
空は曙。日の光はまだ出ていませんが木々の隙間からカーン、カーンという音が鳴り響きます。
魔硝灰岩の横穴に住むドワーフの職人たちがハンマーを振り下ろしているのでしょう。
さて、この山々一番高い頂にある小さな窪みにコの字型に建てられた豪邸があります。
それは新興六大貴族“イシュタルド闇辺境伯”の館。
イシュタルド闇辺境伯は十年前、ロータス帝国による侵略からオーキッド王国を救った褒美としてこの地位を授かりました。
そうそう、この世界はクロマティスといいます。
幾つもの人が住む大陸があり、様々な種族であったり、生き物、魔物と呼ばれる生物が弱肉強食をルールに生活しています。
そして、ここはアイン大陸と神々は呼んでいます。
オーキッド王国、ロータス帝国、カメリア商業国、アリウス魔法国、ナーシサス神教国からなります。
文明は他の大陸と比べると三番目くらいの発展率ですが、シオン・イシュタルド、新興六大貴族となったこの人物により、急速な発展を始めた注目度ナンバーワンの大陸です。
発展率ナンバーワンになる日もそう遠くないでしょう。
そしてここに、私が一番気になっている人物がいます。
その名前は俗称“レオ・イシュタルド”。
シオン・イシュタルドと旧姓クレア・A・イサマーヴァナとの間に生まれたの男の子。
私にも分からない運命を背負って生まれたまだ、齢五歳の男の子。
私は思います。
彼は世界を変えてもおかしくないって。
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