幼少期

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結局その後、眠れなかったレオ君は庭で武術の鍛錬を行い、何時もの時刻に食堂へとライムと一緒に来ていました。 「おはようー」 「おはようございます、坊っちゃま」 二人の女性と赤ちゃんが食堂に入ってきました。 一人は腰のあたりまで伸ばした、朝日に煌めくしなやかな黒髪に、琥珀色の瞳。美しいというより可愛らしい顔立ちをし、赤ちゃんを抱っこした女性。 もう一人は暗い黄緑色の髪を団子状に纏め、赤い瞳にメイド服を身に纏った女性。 黒髪の女性はクレア・イシュタルド。レオ君のお母さんです。 そして、赤ちゃんの名前はルー・イシュタルド。可愛いです、天使ちゃんです。 「おはよう、母さん。メイド長、ルー」 メイド長と呼ばれた彼女は一礼し、レオ君の後ろの壁にいるライムの右側に立ちます。 レオ君と朝の会話をしながらクレアはレオ君の向かい側に座ります。 「おはよう、レオ」 「おはようございます、坊っちゃま」 今度は二人の男性が食堂に入ってきた。 一人はレオ君と同じ光るボサボサにも見えなくもない銀髪に白銀色の瞳。職人が造形を放棄するような恐ろしく整った顔立ちは何となくレオ君と似ています。 彼はシオン・イシュタルド。この家の主人です。 もう一人は白髪混じりの黒髪をオールバックにし、目が開いていないと思うように細い目をした燕尾服を着こなしている初老に見えなくもない男性。 「おはよう、父さん。セバスチャン」 セバスチャンと呼ばれた彼はメイド長と同じように一礼して、メイド長の右側に立ちます。 「ねぇ、レオ。どう思う? この人、起きてすぐに仕事して朝ごはん食べにくるのよ。 酷いと思わない?」 俗にいうお誕生席に座ろうとするシオンにワザと聞こえるような声で、シオンに口元を隠すようにして、クレアはレオ君に話しかけます。 「少しでも終わらせておきたかったんだよ、すまん。今日の午後からは暇だから埋め合わせするから」 少し苦笑いしながら両手を合わせてシオンは席に着きながら謝ります。 「んー、じゃあ王都でも行こうよ」 「そうだな、みんなでいくか」 やったー! と嬉しそうなクレアに微笑むシオン。 この夫婦の様子を余所にお水を飲んでいるレオ君でした。
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