からくり屋敷と謎の紳士

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 知世はいつもカケルと一緒に遊んでいたこともあって仲が良かった。  だから、この得たいの知れない屋敷に忍び込むことを話してしまったのだ。 「怖いなら着いてくるなよな」 「だって、ここ、誰もいないなら秘密基地に出来るんじゃないかと思って」  知世は、半泣きのままカケルにひっついている。  知世の言う通り、屋敷は全体的に気味が悪い。  カケルにも知世にもわからない絵画や芸術品が飾られている。  屋敷は掃除もされていないようで歩く度に埃が舞う。  カケルは、マスクを持ってくれば良かったと後悔する。  しかし、後悔したところで次の部屋は目前で、入口からも大分離れてしまった。  後ろには今まで歩いてきた通路が黒く延びているだけで、玄関の扉はもう見えない位置にある。随分と奥行きの深い屋敷だ。部屋数も外から眺めるより多い。窓が少ない構造だと資料にあった。通路が黒く見えるのはその為であった。
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