第2章

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これはタイムスリップ的な事をしてしまったのだろう。 そして杏の一週間の記憶は消えてしまっている。 すんなりとそれは頭に浮かんできた。 俺の記憶は何かの手違いで残ってしまったのか、それとも俺自身の勘違いなのかさっぱりわからない。 でも大きな問題はないのかもしれない。 もしかすると記憶が消えてしまっているのかもしれないが、ここ一週間で何か重大な事が起こったという記憶はない。 強いて言えばあの自殺未遂くらいだけだ。 あれは未遂に終わったのだから大丈夫だろう。 だとしたらもう一度一週間を送ればいいだけだ。 一週間なんてすぐにたってしまう。 一週間ほど周りのみんなよりも年を取ってしまうが、あまり関係ないこととしよう。 誰かに相談したいがタイムスリップしたなんて話誰も信じたりはしないだろう。 一週間をもう一度できると思えば気楽なものだ。 何の問題もない。 余計なことを杏に言うのもよくないだろう。 そもそも勘違いだと笑われてしまいそうだ。 まあ、なんとかなるだろ。 俺はそう結論付けるととりあえずは思考を打ち切った。 「ねえ、本当に大丈夫?」 ぼんやりと歩く俺をいい加減変だと感じたのか、杏がまた、今度はかなり心配そうにいう。 「あ? ああ、大丈夫だ、かなり目が覚めてきた よし、すこし急ごう、ゆっくり歩きすぎたな 余裕ぶっこいて集合時間に遅れたらみんなに笑われるぞ」 努めて元気そうに言って歩く速さを速めると、杏はいぶかしげにしながらもため息をついて後を追ってきた。
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