第1章

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俺は目を覚ます。カーテンにより朝日が遮られているため、部屋は薄明るい。 一番近くにあったカーテンに手をかけ、思いっきり引っ張る。 今日は快晴。 強い光が窓から一気に溢れ出した。 俺は眩しさに目をしばたきながら立ち上がった。 嫌な夢を見た。 一週間前の文化祭の時の夢だ。 あの日文化祭後に屋上から飛び降りようとした生徒がいた。 幸い、ようとしただけで、未遂に終わっている。 たしか、駆けつけた生徒が助けたとか。 俺はその瞬間を見ていなから詳しい事はわからない。 校内では二、三日くらいは騒がれた。 しかし、今でもそれを起こした本人の名前は知らない。 聞いたような気はするが、憶えていなかった。 助けた生徒もしかりだ。 未遂に終わったからなのか、テレビなどでも特別大きく報道はされなかった。 田舎の学校を取り上げるほどニュース番組も暇ではないのだろうか。 ほんの数十秒ほどニュースでやっていたのを見たが、大したものではなかった。 どちらにしてもあまり気分の良い夢ではない。 はあと大きくため息をついて気を取り直した。 ついでに伸びをすると少し眠気が和らいだ気がした。 俺はTシャツに手を通す。 今日は休みだ。 確か気になってる新譜が出るはずだったような気がする。 それを確認してCDでもレンタルしにいこうか。
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