第1章

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一階に降りて、リビングに入る。 杏は朝食をとりながらテレビを見ていた。 そういえばなぜか休日だというのに制服を着用している。 なんなんだ、こいつ。 「おまえ、休みなのに制服着てるけど、部活にでも入ったのか?」 俺は大あくびをしながら朝食の用意がしてある席に座る。 母親は起きていないようなので、この二人分の食事は杏が作ったのだろう。 珍しい、なにかいいことでもあったのだろうか。 というかそもそも、こんな時間になぜご飯が出来ているだろうか。 「何寝ぼけてんの、今日は日曜日だけど学校だよ、文化祭でしょ」 俺の方は一切気に止めずテレビを見詰めながらそういってくる。 俺はその言葉に思わず動きを止める。 そして苦笑いを作った。 「おいおい、文化祭は先週終わっただろ」 すると今度は俺の方を見詰めてきた。 物凄く驚いたようで目を点にしている。 そして呆れたようにため息をついた。 「頭大丈夫? 文化祭は今日だよ」 そう言いながらテレビを指ではなく箸で差す。 おいおい、行儀わるいな、杏よ。 そんな事を心の中でいいながら、テレビの画面をみる。 九月十八日日曜日の天気。テレビにはそう表示されていた。 俺が認知している日付の丁度一週間前の日付。 文化祭の開催日だった。 「ばかな……」 思わず、そんな言葉が口から漏れる。 そして、俺がテレビを凝視しているうちに天気予報からニュースに変わった。 「なに意味わかんないこと言ってるわけ、そんなことより早く食べて着替えて来なよ」 そう言い放つと杏はテレビに目を戻した。
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