第1章

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テレビを横目に杏は朝食をとっている。 だが俺はそれどころではなかった。 確かに俺は、文化祭一週間後の日の前の日に自分の部屋で寝たはずだ。 だが、目の前には文化祭当日の日付。 わけがわからなかった。 時間が戻ったのだろうか。 そうでなければ、俺の記憶が嘘と言うことになるのだろうか。 デジャブ? いや、デジャブの定義はわからないが、きっとあれは瞬間的なものだと思う。 そんなこと前もあったなぁ的な感じなのだろう。 しかし俺のここ一週間の記憶はデジャブと言うには、期間が長くはっきりしすぎている。 「うわ、また自殺だ、もう最近こんなのばっかり」 杏はそう言うとテレビを嫌気がさしたように消す。 自殺と言う単語に思わず声をあげそうになる。 そうだ、今日の夢だ。 自殺未遂。 文化祭の日に自殺未遂を起こした生徒がいた。 いくらニュースで取り上げれなかったとしても、身内ではかなりのおおごとだ。 そんな大きな事をいくらなんでも杏が忘れるわけがないだろう。 しかもこいつはこんなことをテレビに向かって言ってるくせに目の前で本当に起こったときはあんなふうに釘付けにされていたじゃないか。 「お、おい、おまえ自殺がどうのとか言ってるけど実際この前見たじゃないか 忘れたのか? 文化祭の日だぞ?」 俺は杏にその事を話す。 「は?いや、文化祭は今日だって言ってるじゃないの まだ寝ぼけてるの? シャワーでも浴びてくれば?」 呆れ顔でそういってくる。 とりつく島もなかった。 おいおい、どうなってるんだよ。 俺は言い返すことも出来ず杏の作ったであろう朝食を見詰めていた。
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