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手順通りの、マニュアル通りのような。
そんな授業をする。
眠そうな生徒もいるけど、その気持ち。
正直、解ってしまう。
「…ぇっと…なにか質問はありますか?」
「………」
まぁ、あるわけないのが中学生、か。
白那は珍しく大人しい。
結局、隆宏の予想した通りに、時間は30分ほど余った。けど、ここで授業を終えることが出来ないのが、これまた面倒。
どうしたものか。
いや、ほんとどうしよ。
なにも思いつくことなく、思わず白那を隆宏は見てしまう。
バッチリ目が合ってしまい、白那は優しげに微笑んでくる。
「……ぇっと…」
「そういえば、和泉先生、今日はスーツじゃないんですね」
「ぇ、?あ、…はい」
白那がわざとらしくそんな質問をしてくる。
教室の一番後ろにいた白那だったけど、白那は荷物を持ち、教室の前にくる。
「和泉先生、時間って今、余ってしまってるんですよね?」
「…………はぃ」
なんだ、いきなり。
「それじゃあ、皆眠そうですし、ここは一つ。質問コーナーなんてやってみません?」
「………具体的には?」
「そんな堅いことじゃないですよ?まぁ、アレですよね。俺のことでも、和泉先生のことでも。生徒達が気になったことを質問する。
そんな感じです」
「………まぁ……どうぞご自由に」
時間が余っているのは本当のことだし。
生徒達も乗り気な感じ。
はぁ、なんか助けられた気分。
「よし、じゃあ質問ある人は挙手してくださいねー」
そんな声を白那が掛ければ、結構手が上がる。
白那が適当に当てれば、みんは少しワクワクした感じがある。
「えっと、白那先生って何歳なんですかー?」
「年齢ー?21だよ」
「和泉先生と同じなんだー」
自分に質問が飛ばないことを祈る、って気分。
「はい、次質問ある人はー?」
「はーいはいはい!白那先生って彼女はいるんですかー??」
「うわぁー、なにその質問。まぁいいや」
今時の中学生は、教師のそんなことを気にするのか。
「彼女がいるかは、秘密です」
にっこり、と。
「秘密ってことはー、いるってことですよねー?」
「さぁ?秘密は秘密だから、教える訳にはいかないなぁ」
「えーケチー。え、じゃあじゃあ、和泉先生は彼女いたりするんですか?」
「え、………私…ですか……?
彼女は……いませんよ」
「えー??絶対モテると思うのにぃ」
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