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「こらこら。恥ずかしがり屋の和泉先生に、そんなこと聞かないの」
「ちょ、誰が恥ずかしがり屋なんですか…」
「っはは、和泉先生ですよ」
思わず、反抗するように言葉を口にしてしまう。ハッとすれば、少し生徒達が驚いたような、そんな表情をしている。
白那は悪戯小僧のように笑ってみせる。
なんで、俺……
どうも、白那さんに関して突っかかってしまう。
「はい!和泉先生は、なんで今日スーツじゃないんですか?」
「……クリーニングに出してるから…です……」
俺だってスーツを何着も持ってる訳じゃない。さすがに、クリーニングに出さないとヤバい。
今着てる服すらも…俺のじゃないのに。
「へぇー。白那先生はなんでスーツじゃないんですか?」
「んー?だってスーツって堅いイメージあるじゃんねー。俺は堅く見られたくないんだよねー。和泉先生みたいに」
「………いちいち話振るの止めてください」
「なに言ってるんですか。俺たち仲良しなんですから、話振るの当たり前じゃないですかー」
「わ、」
わざとらしく肩を組んでくる。
うざったい。
ていうか、近い……。
「ね…?」
「っ……だ、誰が貴方と仲良しなんですか……」
ぐっ、
「っ、」
傷口を思い切り指で押される。
めちゃくちゃ痛い。
なんなんだよ、この人。
白那を見ればニコニコしてるし。
「えーでも、和泉先生って白那先生といつも一緒にいるよねー。学校の皆言ってるよー?和泉先生と白那先生は仲良しなんだーって」
「き、気のせいです」
「なに言ってんのさ、和泉」
さっきから、小声でボソボソと。
「いい加減離れてください」
「はいはい。皆、和泉先生を怒らせるととっても怖いから、怒らせないよーにねー」
「白那先生は怒られたことあるんですかー?」
「そりゃあ、怒られたことないと、こんなこと言わないっしょ」
「………はぁ」
「溜め息。漏れてますって」
「誰のせいだと思ってるんですか」
「誰のせいかなー??」
うざい。
副担任だから仕方のないことだけど、やっぱり、白那と同じ空間での授業は嫌だな。
「和泉先生、白那先生とは良く話してますよね」
「ぇ、」
「やっぱり仲良しなんですねー。
去年とかは全然、口効かなかったし、笑うこともあまりしなかったですよね。
それに比べて今はなんだか楽しそうです」
「ぇ、ぇ?」
「生徒は良く見てらっしゃる」
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