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「アンタ……なんで教師になったんだ」
「…………なんでだと思いますか」
「だからっ。
……質問を質問で返すのは止めてください」
ガタっ───
「っ、て─」
痛い。
白那はいきなり立ち上がったかと思えば、再び、隆宏の傷口を力いっぱいに押した。
ぐっ、ぐっ──
「っ、たい……痛い……」
「好きですよね?」
「好きじゃ………ないです」
「和泉先生、アレですよね。アルゴフィリアって奴」
「……?あるご……ふぃりあ…??」
「知らないんですか?苦痛愛好って意味ですよ。ちなみに俺は、ヘマトフィリアとハイグロフィリアです。
俺たち、とっても相性が良いと思いませんか?」
意味が分からない。
それに、苦痛愛好……?
誰が?俺が?
そんな訳あるか。
ぐぐっ───
「っっ、た、ったい…」
「傷口、開いちゃいましたね。
血が滲んできた…。
ふふ、いけませんね。これ以上したら、和泉先生のが、また……勃ってしまいますね」
「誰が!こんなことで…」
「昨日と今日。
どちらも痛みというもので勃ってしまっているのに??好きなんですよね?痛いのが。
俺は別にそんな和泉先生でも全然いけますよ。俺、血で興奮出来ますから」
これは……、
「変態……ですか…」
「アルゴフィリアの和泉先生に言われたくありません。
人はそれぞれ、性癖があるじゃないですか。無い人なんていない。和泉先生みたいに、苦痛愛好の人もいれば、盲目愛好の人もいる。あ、盲目愛好ってのは、目隠しとかされて興奮する人ですから。
中には、幼女性愛だとか、犯罪めいた性癖まであります。
それに比べたら、まだマシな方では?
まぁ、俺は結構危ないみたいですけど。はは、血で興奮出来ちゃいますからね。あ、俺、眼球もいけますよ。舐めるの、実は好きです」
この人は……なにを言っているんだ。
この人は……
「眼球…気持ちいいらしいですよ?
試してみますか?」
「や、…や、だ……」
トクン───
白那は隆宏の胸にそっと掌を当てた。
白那はなにかを確認するかのような、そんな感じ。そして、にっこりと笑う。
「期待。してるんですか?
和泉先生の動悸は、俺を誘ってますよ」
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