性癖

12/63
前へ
/272ページ
次へ
「アンタ……なんで教師になったんだ」 「…………なんでだと思いますか」 「だからっ。 ……質問を質問で返すのは止めてください」 ガタっ─── 「っ、て─」 痛い。 白那はいきなり立ち上がったかと思えば、再び、隆宏の傷口を力いっぱいに押した。 ぐっ、ぐっ── 「っ、たい……痛い……」 「好きですよね?」 「好きじゃ………ないです」 「和泉先生、アレですよね。アルゴフィリアって奴」 「……?あるご……ふぃりあ…??」 「知らないんですか?苦痛愛好って意味ですよ。ちなみに俺は、ヘマトフィリアとハイグロフィリアです。 俺たち、とっても相性が良いと思いませんか?」 意味が分からない。 それに、苦痛愛好……? 誰が?俺が? そんな訳あるか。 ぐぐっ─── 「っっ、た、ったい…」 「傷口、開いちゃいましたね。 血が滲んできた…。 ふふ、いけませんね。これ以上したら、和泉先生のが、また……勃ってしまいますね」 「誰が!こんなことで…」 「昨日と今日。 どちらも痛みというもので勃ってしまっているのに??好きなんですよね?痛いのが。 俺は別にそんな和泉先生でも全然いけますよ。俺、血で興奮出来ますから」 これは……、 「変態……ですか…」 「アルゴフィリアの和泉先生に言われたくありません。 人はそれぞれ、性癖があるじゃないですか。無い人なんていない。和泉先生みたいに、苦痛愛好の人もいれば、盲目愛好の人もいる。あ、盲目愛好ってのは、目隠しとかされて興奮する人ですから。 中には、幼女性愛だとか、犯罪めいた性癖まであります。 それに比べたら、まだマシな方では? まぁ、俺は結構危ないみたいですけど。はは、血で興奮出来ちゃいますからね。あ、俺、眼球もいけますよ。舐めるの、実は好きです」 この人は……なにを言っているんだ。 この人は…… 「眼球…気持ちいいらしいですよ? 試してみますか?」 「や、…や、だ……」 トクン─── 白那は隆宏の胸にそっと掌を当てた。 白那はなにかを確認するかのような、そんな感じ。そして、にっこりと笑う。 「期待。してるんですか? 和泉先生の動悸は、俺を誘ってますよ」
/272ページ

最初のコメントを投稿しよう!

279人が本棚に入れています
本棚に追加