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固く絡まる指。
あぁ、なんだろう。
愛おしい…。
「積極的…っ……なんですね…」
「白那さんが、そうさせたんですよ」
正直。
学校に来てまで、なにしてるんだ、って感じ。やらなければいけない仕事だってあるのに。
こんなふざけてることしてる場合じゃないのに。
なのに、体は止まらないんだ。
愛おしくてたまらない。
俺は落ちたのだろうか。
俺は、
白那さんを好きになってしまったのだろうか。
もぅ、遥香のことは、どうでもいいのだろうか。
違う。
好きでもない。
どうでも良くなったんでもない。
俺は…、やっぱり依存していってるんだ。
体を重ねてしまうごとに、少しずつ、心を許して、依存し始めている。
俺は……最低だ。
こんなことまでして…──
これじゃあ…俺、いつまでたっても変わらない。
とん──
「白那さん…」
隆宏は白那の胸に頭を当てて、静かに名前を呼んだ。白那は口には出さなかったけど、優しく頭に手を置いて、それがまるで、なに?と問うてきているかのようだった。
「……私………白那さんを…傷つけたくないです…」
優しく頭をなでる。
「だから…白那さん。
最後にしましょう。…もぅ、やめましょう。こういうことは、……もう、っ、ん、」
顔を上げたら、白那は隆宏に優しくキスをしてきた。
舌を絡めることのない、ただの、普通のキス。
「っ…」
「やめません。和泉先生が嫌だと言っても、やめたりなんかしません。
そんなんで俺が、簡単に和泉先生を諦めるとでも思っていたんですか?
自分勝手なのは知っています。ですが…、和泉先生。昨日も言ったように、好きになってしまったんです。
そう簡単に諦めれる訳ないでしょう」
「ですが……このままでは…私は……」
「傷つけてしまう…ですか?
人間なんだから仕方ないです。俺だって、きっと。
和泉先生を傷つけてしまいます。ですが、怖がっていたら、なにも始まらない。なにも、進まないんですよ」
とくん──
「………」
そ、っか。
そうか。
そうだったんだ。
俺は…怖かったのか。
嫌われてしまうことに。
だから俺は…遥香にも、同じように。
俺はなにも始まっていなかったのか。
「ありがとう……白那さん」
「…?よくわかりませんけど、どーいたしまして?」
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