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カタン───
最近、学校での時間ですら、理科準備室に籠もっていることが多いから。
生徒達と交流を上手く出来ていない。
それでも、まぁ。
なんとなくで出来てはいるのだが。
食器を片づけながら、そんなことを考えてしまう。
「和泉先生はドジだから、片付けてあげるー」
「ドジじゃないですって」
「いいから」
「……ありがとうございます」
そういえば。
なにかとドジだから、と言われるが、俺はそんなにドジだろうか。
確かに、少し転んだりはするけど、
「わ、」
どさっ───
「っと、和泉先生。なにやってんすか」
近くにいた白那が、脚を突っ返させた隆宏を支えてみせた。
「す、すみませ……」
う、わ、白那さん…、
ち、近い…よ…─
ドクン─ドクン─ドクン───
「考え事しながら歩くから、なにもない場所で転ぶんですよ」
「……すみません」
本当に。
白那さんの言うとおりだ。
「……すみません」
「いや、なんで二度謝るんすか。
俺、謝られるより、ありがとうって言われる方が好きなんですよ」
「………あ、…ありが……とう…」
「あっははは、和泉先生、面白いっ…っくはは…いやいや、やべ、ツボル…っはは、っはー、なんで、そんな……どういたしまして?」
なんか、ムカつく。
「…………」
「………なんですか?
怒ったんですか?」
「………白那さん。
失礼極まりないです」
「きわ、え?きまわりない?」
「極まりないですっ。もぅいいですっ。白那さんは給食当番の子達を見ててくださいっ。私は教室に居ますのでっ」
「ぇ、ちょ、和泉…」
「和泉先生です。人に言われたことぐらい、早くしたらどうですか?白那先生」
「……はーい」
白那はだるそうに、給食当番の子達と教室を出ていき、隆宏は教師の席に腰を下ろした。
「はぁぁぁ…───」
崩れるように机に頬を擦り寄せてしまう。
人が…─
人が凄い恥ずかしいのに…、あんな大爆笑して…──
白那さんのバカ……─。
なんなのさ。
ほんと、失礼な人だ。
しかも、舌が回らない人とか……。
なんですか。
きまわりないって…──
別の方では舌が回るくせに。
「……」
カァァァァァ───
あぁもぅ……。
本当に嫌だ。
なんでこんな…─
イライラしてしまっている時でさえ、あんな、エロい白那さんを思い出してしまうんだ…─。
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