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千夏は見送られて、帰路に着いたと同時に、振り返ってオフィスを見ていた。
(来る前見た時よりも、なんか大きく見える…あそこに、若月君がいて…少しの時間で、こんなに見る眼が変わるなんて…)
「男女の友情、か…(そんなもの、一度も感じたことすらないがな…)…予想外にYesがいたのには、日本の文化の問題か…哀れな」
帰宅した千夏は、ある写真を見ていた。
「…普通の距離感なんだけどなー、撮ってもらっても…これが普通なんだもん…」
そこには、千夏と拓斗の様々なシーンが、仲睦まじく写っていた。
「…てか、なんで振り返って見てるんだろ、ああー!もう!思い返せばやっぱムカつくー!…あの人高校生じゃないし、10個上って…なんで気付かなかったんだろ」
一方、転校生は自宅である作業を進めていた。
(資料は通せた、あとは住民対策と従来の方針だな…)
すると、転校生は電話をかける。
「…あ、俺だ…顧客リストの中から、専門の資格適任者をリストアップしてくれ、おそらく2、3人はいるはずだ」
電話を終えると、クローゼットのある部屋に向かった転校生は、制服を見つめていた。
(伝統だろうが、新しいままだろうが…今年度が最後だ、相応しい年にしよう…)
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