第1章 『アリス』

6/14
前へ
/32ページ
次へ
『図書館』二階:司書待機室 前の持ち主が置いていった絵画を見ながら、夏一は報告を待っていた。 「夏一さーん!連れてきましたよ~」 間延びするような、だが透き通った声。 『図書館』に居座る魔法使いの帰還である。 「やけに遅かったじゃないか?道草でもくってたのか?」 少し馬鹿にしたような言い方で彼女を迎える。 「だって、すばしっこいんだもん。しかも教会の連中、赤ネクタイ三人とか本気出し過ぎでしょー」 と、沙織。 沙織の言う赤ネクタイとは、教会のランク付けで一級魔術師の事を指す。 それを三人となると、じじい共も相当本気のようだ。 「やだ~、図書館狙われるじゃん」 おどけて言う俺。 平和そうですね~と沙織が言ったような気がするが、いい加減本題に入らなければ。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加