第1章 『アリス』

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「なぁ、その話をする前に少し話をしないか?」 俺はそう言いながら腰の刀に手を添える。 相手がどう出ようが対処できるようにする為だ。 居合刀『鈴刀 柚葉』 抜いたときに鈴のような音しかならないことから、鈴抜とも呼ばれていたらしい。 それの存在を確かめながら、深呼吸する。 「我々を馬鹿にしているのか?『図書館代行』」 「いやいや、俺如きが一級魔術師様を馬鹿にはしないさ」 「貴様っ…!」 後ろで立っていた二人の赤ネクタイが儀式用のナイフを取り出す。 「ふーん…『純海石のナイフ』なんか出すなんて、司書相手には完全な悪手だな 焦っているのかい?」 「煽ってどうするんですか? 一級魔術師が暴れでもしたら納品された禁書が駄目になりますよ?」 「そ、それは困るよ…玄関ホールの結界だって万能じゃない。 暴れ回られるよりも先に潰した方が良いのか?」 「司書如きが我々に刃向かえるほどの力があるとでも言うのか! 貴様、我々をどれほど馬鹿にすれば気が済むのだ!!」
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