10人が本棚に入れています
本棚に追加
前に立っていた赤ネクタイが怒りを言葉にし、後ろ二人が怒りにまかせ手に持っていたナイフを床に突き刺す。
俺の横にいた凛さんは、あーあっと気の抜けたように溜め息をついた。
赤ネクタイが突き刺したナイフは、床に切れ目を入れながら俺の方に向かってくる。
だが、刃が俺の元に届く前にナイフはぽっきりと折れる。
「なっ…!」
「居合いの真価は、高速の抜刀と決してぶれない太刀筋だ。一刀一殺の元に考えられた剣術。
そう易々と見破れると思うなよ?魔術師共。」
『純海石のナイフ』が折れると思っていなかったのだろう。
元々、純海石は錬金術師や魔導師が好んで使う、鋼よりも固く、魔術と相性抜群のレアメタルと呼ばれる物だ。
ああもぽっきりと折れてしまっては、唖然するのは納得出来る。
「ロンドンの『図書館』に何故館長が入らないのをご存知ですか?」
唐突に凛さんが話し出す。
「誰も、代行に勝てないからですよ。
ヨーロッパの魔法・魔術などはアメリカよりもかなり進んでいます。
暴走した魔法使いや魔術師を止めるのは第三者である『図書館』です。
ヨーロッパ連合の教会本部があるこのロンドンには、かなりの使い手が居ることでしょう。
その方々を止める方も、かなりの実力をお持ちの方では到底勤まるとは思いません。
なので、日本支部はこの方を代行として送り、この方を超える新館長を探しだそうと躍起になっているのです。」
「え、そうだったの?」
最初のコメントを投稿しよう!