第1章 『アリス』

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ざぁ…と雨が降り続く日に、煉瓦で建てられた商店街の路地裏を走る少女。 この商店街は晴れた日には活気に満ち溢れてはいるが、雨の日なんて家から人は出て来ず、死んだように閑散としていた。 俺は『彼女』を、図書館に隣接する時計塔の上からみていた。 『教会』に行ってた司書から聞いた話では、12時付けで『アリス』の捕獲命令が出されたらしい。 赤い瞳で茶髪。見た目はあどけなさが抜けてはおらず、まぁ…10人中8人が可愛いと部類に入れるだろう。 ……さて、俺は彼女を捕まえて『教会』に送ったとして、彼女は100%幸福な人生は歩めない。人体実験に回され、人として死ねるかすら怪しいものだ。 だからと言って、彼女を匿う気もない。 わざわざ『教会』の人間共に喧嘩は未だ売りたくない。 冷徹な人間だと思うなら…まぁ、仕方のない事だ。
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