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「俺に聞かないでください。子供の何か全般の呼び名で、家の守り神のような存在だと言われますが、内容は様々。神だったり、子供の霊だったり、動物だったり。全般に悪意のない存在です」
恭輔、流石に一回死んでいるだけあって霊には詳しい。
直哉も恭輔に感心していた。
「バカは死ななきゃ治らないというけど、治ったんだな」
そこで、又兄弟喧嘩が始まる。俺は、兄弟喧嘩を無視して、窓の外を見た。
「典史ちゃん、お客様よ」
呼ばれて玄関に行くと、大量のしいたけを持った弓削が訪れていた。ダンボールでしいたけ、干したしいたけもある。
「…しいたけ」
しいたけ、毎日食べていた。この日々がまだ続くようだ。
「黒井君、事件は聞いた」
どこか弓削も伊庭も、ふっきれた表情をしていた。
「部屋、行ってもいいかな?」
弓削、知的な笑みだ。今までの影が無くなると、綺麗な人だった。伊庭が守り続けているのも、うなずける。
「どうぞ」
部屋には直哉も恭輔も居るが、どうにかなるだろう。
部屋に行くと、御形も一穂までもが揃っていた。
「警察にも行ってきたけど、犯人は藤井の母親と、釣り仲間の最後の一人だと思う。釣り仲間の榊もノイローゼになったけど、高山もノイローゼ気味だった。地元に就職したけど、藤井の母親に追いかけられていてね」
弓削に茶を出すと、優雅に飲んでいた。それを見ている伊庭の表情が優しい。
「藤井の死体が発見された。それで、この事件が始まった。死んだ子供は座敷童になるという土地がある。子供で死んだ藤井は座敷童になっている。謎の展開をしたわけだな」
土地に居ないなら、他の土地で座敷童になっている。それでも見つからないのは、きっとあの子供たちに憑いていってしまったからだ。その論法で、一穂が座敷童と間違われて誘拐され、俺達を殺したらきっと憑いている藤井が戻ってくると、変な方向に思考が走っていったと弓削が推測する。元々、藤井の母は、都合よく事実を曲げて解釈する、そういう思考をする傾向があったとのこと。
「まだ、死にたくないです」
人間相手に、どうしたら良いのだ。
「御形が守るよ」
一穂が胸を張って言うが、一緒に誘拐されていただろう。
「そうだな、生きている相手ならば、御形が役に立つかもな」
御形、一穂をしっかり守って欲しい。俺達は自分で何とかするから。
「藤井の母親生きていたのですね」
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