第1章

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 もう一つ忘れていた。 「あと、誰にも言ったことは無かったけど、俺、天使」  多分、見える人には見えてしまうのだろうが、しまうことのできない羽が俺の背についている。 「本当だ、すごい綺麗だ」  見えるのは、そう俺を愛してくれる人。母や祖母には見えていた。姉にも時々見えているらしい。 「ボクはずっと見えていたよ」  一穂が俺の羽を見ていた。 「父さんと、母さんにも見えていたよ」  俺は、最近見えた。俺は、今まで自分を愛していなかったのだろう。 「沢山の人にこの羽が見えるといいね。だってこの羽を見た人は、幸せになる」  一穂、いつから気が付いていたのだろうか。 「でも兄さんには、典史兄ちゃんの羽、一番綺麗に見えるのでしょ」  一穂が見ていたが、御形に飛び込んで行った。 「沢山教えて、黒井のこと…」  星が瞬くように、羽が瞬いていた。天使が今、地上にやってきた。 カウントブラック 終わり
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