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もう一つ忘れていた。
「あと、誰にも言ったことは無かったけど、俺、天使」
多分、見える人には見えてしまうのだろうが、しまうことのできない羽が俺の背についている。
「本当だ、すごい綺麗だ」
見えるのは、そう俺を愛してくれる人。母や祖母には見えていた。姉にも時々見えているらしい。
「ボクはずっと見えていたよ」
一穂が俺の羽を見ていた。
「父さんと、母さんにも見えていたよ」
俺は、最近見えた。俺は、今まで自分を愛していなかったのだろう。
「沢山の人にこの羽が見えるといいね。だってこの羽を見た人は、幸せになる」
一穂、いつから気が付いていたのだろうか。
「でも兄さんには、典史兄ちゃんの羽、一番綺麗に見えるのでしょ」
一穂が見ていたが、御形に飛び込んで行った。
「沢山教えて、黒井のこと…」
星が瞬くように、羽が瞬いていた。天使が今、地上にやってきた。
カウントブラック 終わり
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