3/7
前へ
/76ページ
次へ
まだクラスが変わってから日が浅く、声だけじゃ誰だかわからない。 小学校5年生の最後のクラス替え。 親友の美里(みさと)と同じクラスだったからそれだけで満足していた。 特に男子の顔と名前は一致していない。 「…大丈夫」 そう答えてもう一度見ると、体操着の胸元に『松田』の文字。 「…ありがとう、歴(れき)くん」 暑いグラウンドの隅でしゃがんでいる私を心配してくれたんだろうと思い、迷惑はかけまいと精一杯笑顔を作って見せる。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加