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しかしそれを見た歴くんは渋い顔をしていた。
「…大丈夫じゃないよ、それ」
まだ声変りをしていない澄んだ声が一瞬低くなった。
私の腕を取ってゆっくり立たせる。
「保健室行こう」
「だ、大丈夫…っ、一人で行けるよ」
うまく笑顔が作れていないのだろうか。
気丈にふるまえばふるまうほど彼の目は険しくなる。
「…澪(みお)ちゃんは、嘘をつくのが下手だね」
「……っ」
優しい声色だった。
耳に残る、心に響く声。
彼はそう言ってさっきとは打って変わった笑みを見せた。
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