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「おかえり。早かったじゃない」 「こっち、なんでこんなに暑いの」 エプロンで手を拭きながらお母さんが玄関までやってきた。 私の手から荷物を受け取り、玄関の隅に置く。 「しょうがないでしょー、盆地なんだから」 「…なんで盆地なの」 「さぁねー」 お母さんはそう言ってまたキッチンに戻っていく。 私は玄関に腰かけ、ごろんと寝転がった。 ひんやりと冷たい床。 それが心地よかった。 まだひかない汗が額から流れる。 …あぁ、このまま寝ちゃいそう。 靴を履いたまま「うーん」と伸びる。
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