やっくんのバレンタイン

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普通に卵焼きを作っただけで、その卵焼きが産業廃棄物になるちーちゃん。 もはや、それは料理作りとはいえず劇物作りといって良かった。 「となると、あのチョコに何が入っているか分かったものじゃないでつね」 「ちーちゃんは、無意識に普通の醤油や塩を劇物に変化させる能力の持ち主よ。もし、アレにかほの毒とか入ってたとしたら」 マチルダの考えに流星は青ざめる。 「やばいでつお」 「かほ、この部屋全体を結界で包んで」 入り口だけに結界を張っていたかほにマチルダが言う。 「結界が完了したら…やるわよ」 そう言うとマチルダは、ひよりの毒マスクを被る。 流星も、同じマスクを被ると頷く。 「りゅーたん、結界は完了よ」 かほの声が聞こえるとマチルダは頷く。 チビピノを奪い合う八雲達にマチルダが魔法弾を撃つ。 一瞬、チビピノから気がそれた隙を狙い流星がジャンプしてチビピノを掴む。 「ねこたん、今よ」 「了解デス」 いつの間にかダブル八雲の側に立っていたカガミネコが手に持っていたノズルを向ける。 「流星、かほ、退避よ」 マチルダの声で流星が入り口へと走る。 流星は入り口に向かいながら呪文を唱え自分の周りを保護する。 ゴォォォォ。 カガミネコの持つノズルから火が放たれた。 「急拵えのスプレー火炎放射だけど、魔力の威力増幅バージョンよ」 殺虫剤を集めた火炎放射器擬きでダブル八雲を焼こうと思い付いたのはカガミネコだ。 カガミネコは、八雲汁がキッチンペーパーでもなかなか落ちないくらいの油分なので焼けば良いと前から思っていた。
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