やっくんのバレンタイン

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腐腐腐館の千冬の部屋で八雲は愛するちーちゃんからプレゼントを差し出された。 「やっくん、はいバレンタインチョコ」 千冬が差し出したのは鍋。 中には茶色い物が、ぷくっ、ぷくっと気泡を湧き出している。 「ちーちゃん、これはなんでちか」 「だから、バレンタインチョコ」 茶色い液体からガスが発生し気泡が湧いている怪しいモノをチョコと言い張る千冬。 「さぁ、食べて」 そう言うとそのチョコらしき液体が鍋から噴出した。 「あひゃー」 驚く八雲を目掛け茶色い液体が襲い掛かる。 逃げる八雲、追う液体。 何時しか液体は八雲の形になって走っていた。 しかし八雲は、ちーちゃんからのプレゼントのマンキニ姿。 偽八雲は茶色い全裸の八雲姿。 その二人(?)の追いかけっこが腐腐腐館で始まった。 「わーい、やっくんが二人になっぁ」 「ちーちゃん、何を呑気に言ってるでち。早くこのチョコ人間を元に戻すでち」 「ん?戻し方なんて知らない。台所にあった魔法料理本を見て作ったの」 魔法料理それは、りおが研究をしている分野でもあった。 かほの毒薬を使い、解毒効果のある料理を研究したり、毒薬をバレずに料理に仕込む研究をしていた。 そして擬似生命を料理に吹き込む研究。 前に館に逗留していた魔導師が納豆汁を嫌がり食べなかったのだ。 その時に、食べ物に擬似生命を与えると自分から口に入り込むのではないかと思い立ち研究を始めたのだ。 その研究書を千冬は、料理本と間違えてチョコを作ったのだった。 「ちーちゃん、その本は台所でちね」 八雲の問いに千冬は、こくんと頷く。 「その本を読んで、この魔法を解くでち」 八雲は一目散に台所目指して走り出した。
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