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眼に魔力を集めて遠くに集中すると、数人が箒で飛んでいるのが見えた。
その飛び方は不安定で、上がったり下がったり、左右にぶれたりと余り上手ではなかった。
僕は少し考えてから右手を見た。
僕の右手の中指には、指輪がはまってる。
「アウト」
僕がそう言うと、一瞬指輪が光を放ち、そして僕の右手には古い箒が握られていた。
箒の柄は古く黒光りしてる。
所々節くれだっていて、全然滑らかじゃない。
でも、僕はこの箒が大好きだった。
魔法が使えて本当に良かったと思ったんだ。
この箒は、僕の家に古くから伝わってる物で、魔法使いが遥かな過去に居た証拠だって伝わってたんだ。
魔法使いでないと、この指輪に魔力を流す事は出来ないから、箒を取り出す事も出来なかったんだ。
僕はこれを、五歳の時に貰った。
それから、ずっと練習したんだ。
何度も痛い思いをした。
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