木村 明

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和也は、四畳半のボロアパートの畳に寝そべりながら、昨日のことを思い出した。 あの事件のあと、警察から事情聴取を受けた、あの男の不思議な能力について、正直に話したが、最後まで信じてはもらえなかった。 事情聴取を終え、警察署から出た頃にはもう日が暮れていた。 荒井さんとは、僕の不思議な能力について、半信半疑ながらも調べるのに協力してくれるそうで、メールアドレスを交換した。 彼女は、心身ともに疲れた様子で、アドレスを交換したあと、すぐに帰っていった。僕も、大分疲れていたのか、アパートに着くと服も着替えず寝てしまった。 今日は、バイトの時間まで、少しでもアニメを消化しようと思い、テレビを点け、ポテチを開けた。長年続けられたこの動きは、実に効率的で芸術的ともいえた。ポテチを貪りながら、和也はまた、昨日のことを考えた。人が目の前で死んだのだ、自分自身も、二回死にかけた。それなのに、いつも通りポテチを貪る自分、我ながら感心した。 「そろそろ支度をしなくては」 和也はテレビを消し、バイトへ行く準備をし、家を出た。バイト先であるコンビニに着いた、昨日の事件があったコンビニではないが、やはり和也は警戒していた。 警戒のしすぎで、ミスを3回もしたが、その甲斐あって無事に、バイトを終えることができた。 和也はコンビニから出て、携帯を確かめると、一通のメールが届いていた。
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