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日本語がわかる、わからないっていうこと以前に
見ただけで、ちゃんと男の花魁だとわかっている。
わかっていて
大金をはたいてまで
君を買った。
「知ってる」
「あっ……ン」
指先は太腿の内側をゆっくり進んで
その中心で熱を持つ、雄に触れる。
「知っていて、それでも君が欲しくて買ったんだ」
「あ……ライアン、さんっ」
中心を指先で撫でながら
膝を立てた俺は太陽の真っ白に化粧した首筋を捕まえて
引き寄せると舌で舐めてくすぐった。
上から降ってくるように聞こえていた艶やかな声が
すぐ耳元で、気持ち良さそうに啼くと
それだけで、ひどく興奮する。
そして肩を掴む指がしっかりと力強く
俺に
縋る。
「さん、は付けなくていい」
紳士で優しい男じゃないんだ。
さん、なんて必要ないし
そんなふうに呼ばれたくない。
君に一瞬で欲情して、金で手に入るんなら、それでかまわない
そんな横暴な男なんだ。
そう思ってもらってかまわない。
「あ、ライアン、待ってっ」
「いやだ」
だから、こんなに美しくて、柔らかい花を愛でるだけ
なんて
そんな綺麗なことをするつもりはないんだよ。
俺は君が欲しいと思ったんだ。
そしてこうして――
「あ、ぁ、ライアンっンンっ!」
こうして
爪先から、唇も、何もかも自分のものにできるのなら
金だろうがなんだろうがいくらでも使おう。
どう思われたっていいよ。
君にこんなふうに触れられるのなら
別に、「商品」って名前がついていてもかまわない。
「ライアンっ」
紳士なんかじゃない。
だって、俺は君が花魁でよかったと思ってる。
そうじゃなかったら
こんなふうに全部を自分の腕で乱すなんて
できないだろう?
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