第一巻

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「いきなり小屋を吹っ飛ばしてきた時はどんな野蛮なやつかと思ったけどねえ。まあ野蛮は野蛮だけど、こだわりがあるようで助かったよ。カトゥルス、久しぶりに呼び出してすまなかったね。だけど、本気で行かないとやばいよあいつは」 「おう! わかってるぜお嬢ちゃん! オイラに任せときな!」 「やれやれ。もうお嬢ちゃんって年じゃあないんだけどねえ。悪いけど働いてもらうよ!」    カリスが杖を捨て、腰をぐっと伸ばした。警戒しつつも軽く体をひねり、体の調子を確かめる。 「うっ久しぶりだとやっぱり堪えるねえ。カトゥルスのおかげで多少体の調子が良くなるにしても、限度があるねえ」  やれやれとカリスが首を左右に曲げる。目の前の狼は今にもこちらに飛び掛ってきそうである。  しくじればあっさり終わる。相手はそれだけの強さを持つ。カリスは長年の経験からそのことを肌に感じ取っていた。 「あたしの名前はカリス。疾風の花美女、カリス」
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