第一巻

15/94
前へ
/94ページ
次へ
カトゥルスの体も淡く光る。やがて光はカトゥルスだけでなくカリスをも包み込んだ。 「おもしれえ! はははははは! 何をする!? さあ楽しませてみろ!」  カリスの言葉にディオミスがほえて反応する。カトゥルスも負けじとうなり、両者が睨みあう。 「くらいな! 急流の風(ヴァントラン)!」  カリスが銃をディオミスに向けて放つ。微かに白い色を帯びた巨大な空気の塊がディオミスを襲う。 「は、こんなもの!」  ディオミスは顔の前で腕を交差して、下半身に力を込めた。空気の塊を体で受け流そうとする。 「あまいよ」  空気の塊はディオミスの直前ではじけ、鋭利な無数の空気の刃となって、ディオミスを切り裂いた。ところどころ血がにじみ、金の毛並が朱に染まった。 「ああ! 痛え! 痛え! 最高だ。俺様にこんな傷をつける人間なんぞ見たことねえ! お前が同属なら四狼に加えてやっただろう! ああ、痛いな。たまらねえなこの感覚。うおおおおおお!」
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加