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「できたーできたーやったーやったー」
レイナは上機嫌で街の外へと向かった。何事もなくりんごを買うことができた。後は帰るだけである。もうほとんど成功したようなものだ。満足感が胸に広がっていた。
「レイナだってもう一人で買い物できるもーん。おばあちゃんにしっかり言わなきゃ」
レイナはいつものカリスの姿を思い起こした。カリスは白髪まみれで腰は折れ曲がり、普段は杖を突いて歩いている老婆だ。重い物を持つ時はいつも大変そうだった。だからレイナは何でもカリスの手伝いをしようとした。ところが、カリスは少しくらいならお願いしてくれるものの、基本的には自分ですると言って聞かなかった。
カリスはよくレイナに、自分は若い頃はバリバリのハンターで、森を大地を素早く駆け回り何匹もの狼をしとめたものだと銃を見せながら語っていた。レイナはその話を聞くのは嫌ではなかったし、カリスのことを疑うわけでもなかったが、今のカリスの様子を見ていると、とても大丈夫には見えなかった。もう大きくなった自分がカリスのお手伝いをするのだとレイナはカリスに何回も言っていた。今回のお使いも散々レイナが一人で行くと言い続けた結果から成ったことだった。やれやれと言って、カリスはレイナに許可を出したのだった。
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