-隕石に関する記事-

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「さすがやね、ユウコさん」 「どうってことないわ。さっきの通信衛星は?」 「あー……あっ、今ちょうど静止したわ」 「オーケー、接続に入る。マスクさん、あとBJさんとサキチ! キテレツさんも!」 「あいよ」 「はい」 「はーい」 「全員ヘッドセットを装着して。8000名に一斉に指示を出すわよ!」 私は他の四人と同様に、左耳に青いヘッドセットを装着した。 パソコンとペアリング。 衛星と通信が繋がった。 衛星はあらかじめパスワードを知っていた者のみに自動的に繋がるようセッティングしてある。 あとは私が先程ハッキングした、ライン。 グループトークの回線を無理やり音声通話に繋ぎ、一斉に通信を図る。 モニターの画面右下に表示されるアンテナのアイコン。 通信状態は良好。 チラリとマスクに目を向けると、彼女もまた私に目を向け、小さく頷いてくれた。 いざ、接続。 「ハロー、聞こえてるかしら」 聞こえる。 ヘッドセットから聞こえる、無数の雑踏。 この向こうに8000のオニがいる。 私はモニターに目を向けた。 映っているのはムゥ大陸の衛星写真と、無数の赤い点。 横から覗き込むマスクは、その点の一つ一つが手駒達の現在地であることを容易に察したことだろう。 「はじめまして、私が“コバルトブルー”、このプロジェクトの立案者よ」 肌を刺すような寒さだが、私の頬を汗が伝った。 場に流れるのは冷たい風と、パソコンの冷却ファンと発電機のエンジンが回る音だけ。 姿は見えない。 しかし、私の前には確かに、8000のオニがいる。 「ふむ……作戦に参加してくれたのは8224名中7995名ね。ありがとう、逃げずに参加してくれたあなた達は勇者だわ」 隣で小さく「少なっ…」と漏らすマスク。 しかし、人数においてはBJの良策により7000を割らない限り、またよほど大陸内の分布が偏らない限り問題は起きないとされる。 モニターからの情報を汲み取るに、つまりは問題ない。 「全員バルーンは持ってるわよね? 持ってない方がいたら返事して。あと、一緒に送付したワクチンを接種してない方も。……いないわね。じゃあ説明を始めるわよ。  知っての通り、その風船の中には空気感染性の致死ウイルスが入ってるわ。私の合図で一斉に空に放てば、すべての風船がほぼ同じタイミングで爆発する」  
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