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-鬼のあるべき姿-
この計画の本筋は、地球の支配権をオニからヒトへ譲渡するという目的の下にある。そしてさらなる目的としてもう一つ。オニの存在をヒトの後世まで、あわよくば恒久に伝える為である。
およそ60年前の近年にオニが滅ぼした、通称ビッグフットと呼ばれる生命体は、現代はムゥ政府が存在を抹消する方向で動いている。大陸全土に情報が広まり、全てのオニにビッグフットの像が刻まれ過ぎたからである。
逆に、鬼暦200年頃に滅ぼされた恐竜と呼ばれる生命体。こちらは抹消されるどころか、いまや童話や絵本、オニ界のフィクションの悪役の定番として語り継がれている。
このフィクションというのがキーワードだ。
この二種類の間に何を挟んだかを考察するに、「メディアの発達」なのではないかと思う。後世になって存在の証明ができない場合、その存在はフィクションとして語り継がれる運命を辿る。幸いヒトとオニの進化過程が似通っているとのことだし、恐らくこの説に間違いはない。
何を言いたいかというと、ヒトのメディアが発達していない今だからこそ計画を実行すべき、ということだ。
もし地球の支配権がヒトに移るタイミングが遅れてしまえば、オニの存在がビッグフットのケースのように、この世界から抹消されてしまう。オニが恐竜のように後世まで伝えられる存在、いわゆる「愛される悪役」となるためには、タイミングは今。
話が逸れた。計画は三段階に分かれる。
①殺鬼ウイルスの拡散
②大陸沈没
③桃太郎とオニの戦い
①の作戦は囮だ。本命は②、隕石による大陸沈没。隕石の軌道を反らすガリレオの作戦に邪魔が入らないよう政府の気を逸らすには、①のような大掛かりなフェイクが必須。ウイルスの作成はBJに一任している。
②を任せたのはキテレツ。キテレツが自作した無人宇宙船「ガリレオ」にダイナマイトを積み込み発射、隕石にダイナマイトを撃ち込んで軌道を地球へと戻す。大陸東寄りに直撃することで陸地を貫通し、隕石は海底に衝突。本来上空に巻き上がるはずの粉塵は大陸の陸地裏を伝い、大陸の足だけを破壊してゆく。力学エネルギーを計算するに、上手くいけば作戦実行拠点「岩の塔」だけを残し、ムゥ大陸全土が綺麗に沈没する。
そして、③。
「タカシ・カトウの計画ノート」より抜粋
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