-鬼のあるべき姿-

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「マスクさん、カメラの映像を」 「了解や」 マスクがキーボードでコマンドプロンプトを入力すると、全てのパソコンに36分割、36台分の監視カメラの映像が映し出される。 そして次々と別のカメラに切り替わってゆく。 私が以前よりハックしていたムゥ大陸各所のコンビニの野外監視カメラだ。 そのそれぞれの上空に、見える。 まるで点のようだが、浮かび上がって行くカラフルな風船が。 「うん、バルーンは上手く上がってるみたいね。BJさん、破裂のタイミングは?」 「上空300メートルで破裂するように設計してある。あと2分だ」 「……ちょうど良い。それを手動操縦切り替えの合図にしよう」 今の声は私ではない。 BJの隣の空いていたパソコンに腰を下ろす黄色い影。 キテレツ。 手に持った拳銃大の何をひらつかせながら私を見ている。 「キテレツさん、それがリモコン? 思ったより簡易的ね」 「まあね。持ち心地が良いから」 プレイステーションのコントローラーというか、そのままそれ。 ガリレオを操縦すると思わしきリモコンはゲームコントローラーだ。 先程打ち上げたガリレオはすでに尾を引きながら上空へ消えている。 「大丈夫なの? 宇宙船の操作舵がゲームコントローラーだなんて」 「ペンタブレットの回路を埋め込んだんだ。全てのボタンに2048段階の指圧センサーを取り付けてる。あとは映像を見ながら、ってとこかな。……マスクさん」 「はいよ、キテレツさん」 マスクが再びコマンドプロンプトを操作。 一同の画面には監視カメラの映像に代わり、早くも宇宙空間に突入したガリレオからの映像を映し出す。 ノイズ混じりだが宇宙からの映像にしては非常に鮮明だ。 屑が横を過ぎていく様子を見るに、ジャンボジェットだのとは比較にならないような速度が出ているらしい。 「月の軌道をかわしたよ。そろそろ手動操縦に入らないと。BJさん、あと何秒?」 「あと6秒」 「了解」 キテレツがコントローラーのスタートボタンに指を置いた。 監視カメラから見た風船の映像も画面の隅に置いておく。 さぁ、破裂の時だ。 殺鬼ウイルスをばら撒け。   パァンッ!!!!! 「手動操縦、開始」 風船が破裂すると同時に、ガリレオからの映像が乱れる。 キテレツが押したのはR2のボタン。 ガリレオが急加速したのだ。  
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