110人が本棚に入れています
本棚に追加
「あぁ、BA!眼が覚めたか?」
その声に振り向くとGIが駆け寄り、私の手を両手でギュッと握った。
「ッッく……」
嗚咽混じりに涙を流しながら握る手の甲をさするGIを、朧げに見詰める。
訊きたい事が、沢山ある。
だけど上手く口が動かない。
それを察してかGIは、背中を優しく撫でながら噛み締めるように数回頷いた。
まだ現状を理解出来てはいないけど、愛しいこの人が居てくれるなら
それでいい…
ぎゅっと温もりに包まれた手を握り返す。
刹那、引き寄せられ抱き締められた。
ホッとする…
何よりも、GIの温もりと
変わらない彼の香りが
私の安定剤…
彼の胸の中で気持ちを落ち着かせ、少しずつ記憶が鮮明になり
ぽつりと呟いた。
「…私達の…、私達の赤ちゃん…」
私は一体、どれくらい眠っていたのだろう。
言葉を発する事が、久しい気がした。
最初のコメントを投稿しよう!