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eternal return――虚淵玄論
飯田一史
神様は勇気とか希望とかいった人間賛歌が大好きだし、それと同じくらいに血飛沫やら悲鳴やら絶望だって大好きなのさ。
――『Fate/Zero』
一、八〇年代文化から二〇〇〇年代文化へ――虚淵玄の場合
『魔法少女まどか☆マギカ』のシリーズ構成/全話脚本を手がけた虚淵玄について語ろうと思う。
まずは彼がどんな作品から影響を受けているのかという歴史の話をし(つまり「縦軸」)、次いで「ゾンビ」つながりでネット上でも『まどマギ』との比較が散見された『ハーモニー』の伊藤計劃と虚淵玄のスタンスやテーマの共時性について語り(「横軸」)、そして虚淵玄にきわだってみられる特徴とその変化を作品史をたどりながら『まどマギ』に至る、という三部構成で話をするつもりだ。
ひょっとしたら、一九九六年に『新世紀エヴァンゲリオン』に人生を狂わされ、謎本や評論本を買いあさったぼくと同様に、『まどマギ』に人生を曲げられてしまった若者だって、いるのだろう。
この原稿は、一〇代にはわかりづらい話だと思う。
けれど『まどマギ』のストーリーをつくったひとが、どんなものを摂取してきたのか、どういう時代を生きているのか、七二年うまれの虚淵玄より一世代下である八二年うまれの人間として、考えてみたつもりだ。
さらにもう一世代以上下の読者は、「求められなかったから説明しなかっただけさ」――というわけではなく、申し訳ないけれど知らない単語があったらググりながらでも読んでほしい。
前置きはこれくらいにしよう。
日本の二〇〇〇年代文化のクリエイターは、おおむね八〇年代文化からの影響を計測することで整理できる。
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