第1章

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クリリンのことか? はい、ゾンビです――ライトノベルにはいらない子について 「ライトノベルでもゾンビ流行ってたじゃないですか」  流行ってねえよ。  ガチで売れたのは木村心一『これはゾンビですか?』だけ。  売上を無視して『これゾン』以降にリリースされた作品の数を見ても、両手で数えられるくらいしかないと思う(ライトノベルって毎月一〇〇冊以上出てるのに、だよ?)。  しかもいちばん売れたゾンビライトノベルである『これゾン』はジョージ・A・ロメロ『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』以降のゾンビの特徴である ・見境なく人を襲う、喰う ・頭部を破壊されたら活動停止 ・伝染する ・知能が低下する  といったお約束を外している。  ゾンビで魔装少女の相川歩は女の子の着替えに遭遇はしても喰っちゃわないし、爆発しても死なない不死身の男だし、伝染しないし、知能は(たぶん)元から低い。  じゃあ逆に、きっちりゾンビもののマナーを踏まえた作品の代表はというと、大樹蓮司『オブザデット・マニアックス』がある。  ロメロゾンビが出てくるばかりでなく、章タイトルはぜんぶ先行作品からの引用。作中でボンクラの主人公とヒロインがザック・スナイダー版の走るゾンビについて是か非か議論するほどだ。  けれどそれくらいのもので、あとはゾンビ映画のマニアが読んで喜ぶような作品は、このジャンルにはほとんど存在しない。  しかも『オブマニ』が売れたかというと、そうでもない。  ゾンビライトノベルは、ゾンビマニアにもライトノベル好きにも鬼門なのだ。  なんでまたライトノベルとゾンビの相性は悪いのか?
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