第1章

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「どうだ、最近……」 二人して桜の木に背中を預け座っていると、突然隼人が口を開いた。 質問の意味がよく分からない。 『どうって何がだよ』 「学校だよ」 『別に特に何もないけど』 「嘘つくなよ、俺が分かってないとでも思ってんのか?」 ……こいつ気づいてたのか? 『……教科書がよくなくなってたり、戦闘訓練で寸止めの授業に関わらずボコボコに殴られたり、それが終わった後、制服に着替える時ビリビリに破られてたとか……知ってたのか?………まぁ、隼人が気にすることないよ、別にどうとも思ってないから』 言うことじゃないけど〝俺が分かってないとでも思ってんのか〟まで言われたんだ、隠しきれないだろう。 「……」 隼人からの返事がない。 うちが口を開けようとした時だった。 「…お前、そんな事されてたのか」 『えっ……』 いやいや、知っててうちを問い詰めたんじゃないのか? 目をパチクリさせ驚く隼人に驚く自分。 『そのことじゃないの?』 「ちげーよ!俺がそこまで知るわけねーだろ!?てか、誰だよ!お前いじめてたやつ!!!」 完全に怒ってるよ……。 〝いじめられる原因はあんただ〟なんて言えるはずがない。さっきの全て、隼人に思いを寄せる女子たちの犯行。女って本当怖いよね……。 『だから、気にしてないって言ってるだろ。ただ、からかいたいだけなんだよ』 「だ、だからってよー」 『いいって言ったらいいの』 それだけ言うと、隼人は何も言わなくなった。納得はいってない……そーゆー顔をしていた。
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