第2章 第1神話 希望のおばさん

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「んで、さっきお礼はしますって言ってたけど、見つけたらいくら貰えんだよ。」 まるで脅しているかの様にも聞こえる、がめつい聞き方をするホープ。そんな態度のホープにびくっとする女性。 「い、1万程のお礼をしようかと・・・。」 「・・・。(1万か、しけてんなぁ・・・。)」 チラシをポケットに入れ、自転車に乗り無言で立ち去ろうとするホープ。女性はまた大きな声を出し、飼い猫を探していますー!と必死に呼びかけていた。 「おい。」 「は、はい・・・。なんでしょう。」 そんな女性の必死な姿を見たホープは自転車に乗ったまま、女性の前へと行くと声を掛ける。そんなホープを見ると恐怖心を抱く女性。 「ここに坂があんだろ。俺は全力を出してこのママチャリで一気に登ってやった。途中息苦しくて何度か降りようと思った。降りて引っ張って登ろうかとも思った。でもそんなだっせえ姿見せたくないだろう。だから必死で登り切ってやった。お前も必死でやれば、猫は見つかるお前が諦めなければな。だから俺も諦めずに探してやる。それだけだ。」
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