第1章

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 火が燃えている。毎日、少しづつ増えている。 一つ一つは大きくはないけれど、宙に浮いてる。 青いのも、白いのも、赤いのもある。でしょう。  星のように見える。部屋の電気を消してみる。 もう数える事が出来ないほど。だから星空かと。 触ることはできなけれど、近寄っても熱くない。  燃えながら飛び回るのは、流れ星みたいだし。  勝手によけるし、カーテンにも燃え移らない。 これだけの数が、燃えながら浮いてるけれども。 全く眩しくも無い。周囲を照らす事が無いから。  ビールを呑みながら、暗闇の小鳥を見つめる。 小鳥の姿に燃えて羽ばたいている。火の玉とか。 そういう火ではない。小鳥の形をして飛び回る。  これだけの数を殺してきたんだ。随分だよね。  もう部屋は鳥の火だらけ。私が捕まえたから。 譲る気もないし、譲る事もできない。出来る事。 どうやって、小鳥を捕まえたか教えてもいいよ。  屋上から飛降りた時の事なんだ。私の体が、 彗星みたいに、火の矢のように、しなりながら 地面に叩きつけられて、粉々に砕けたんだよね。  駐車場を見下ろし、左の自動車を避けないと。  砕けた私の粒や破片は、水晶の欠片っぽく、 どんな小さな部分にも、火が灯って燃えていて。 粉々の私は、私達は、空へ昇って行く。殺した。  花火の様に螺旋に昇り、羽を広げ小鳥になる。 燃えながら、自分の部屋へ飛び込んで行く。 水晶から燃え抜けた小鳥、部屋で次の私を見る。  そのうち次の私も屋上へ行くよ。散々だよね。  いつか落ちる前に鳥達が、助けてくれないか。 都合のいい事を考える様になった。勝手だけど。 もしも、それが起きたら私が私を助けるのかな。  毎日、毎日。何人も殺しても。次の私が待つ。 つっかえている。順番待ちの行列みたいに滑稽。 最後の私の番までに、小鳥は何羽になるのかな。  小鳥の火が増える事に、部屋はどんどん暗闇。  落ちる堕ちる、燃える焼ける、消える朽ちる。 羽が燃え尽きて落下していく。激突する為の間。 燃え上がる気持ちを維持してて。お願いだから。  無数の夜雀になって、貴方の部屋に行くから。 暗闇の部屋で待っていて。一緒に落ちてあげる。 夢に堕ちるでしょう。睡魔に勝てないでしょう。  どこまで落ちても火は燃えてる。だけど鳥目。
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