第1章

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・反復のはてに円環をなす四部構成にする 『百年の孤独』は、親の世代が活躍し、子がてだれの女に翻弄され、恋におち、孫をつくるまでをひとつのかたまりとしてとらえるならば、四つのパートにわかれているといえる(この小説に目次はなく、公式には章タイトルもなければそもそも章分けもさだかではない。勝手に、便宜的にわけるだけだ)。  したがってまずは四つのブロックを構成することからはじめたい。  第一部はホセ・アルカディオ・ブエンディアがマコンドという土地をみつけ、定住し、リーダーとして最初の繁栄をきずき、ふたりの子ホセ・アルカディオとアウレリャノがそれぞれ恋をし、孫アルカディオとアルレラノ・ホセをつくるまでだ。  第二部はアウレリャノが、マコンドの外部から政府の命によって派遣されてきた町長モスコテの娘レメディオスと結婚したのち、モスコテから土地の利権をめぐる話を聞いたことをきっかけに政治に目覚め、義憤に駆られて革命軍に付き、大佐として戦争をし、停戦するまでである。  アウレリャノが大佐としてマコンドの外へ出ていく一方で、マコンド内部の物語をすすめる者もいる。  中心となるのはふたりだ。 「内政」をになうのが、アウレリャノの兄ホセ・アルカディオがピラル・テルネラとのあいだにつくったアルカディオ。  そして「性愛」を担うのがアウレリャノ大佐の息子であり、やはりピラル・テルネラとのあいだにつくったアウレリャノ・ホセである。  アルカディオはサンタ・ソフィア・デ・ラ・ピアダとのあいだに見た目がうりふたつなホセ・アルカディオ・セグンドとアウレリャノ・セグンド、そして美貌にして白痴な小町娘レメディオスをのこす。  第三部はマコンドに鉄道が引かれてよそ者が殺到し、近代的なバナナ工場ができて隆盛がもたらされるもストライキが起こり、煽動したホセ・アルカディオ・セグンドだけがいきのこり、ストに参加した三〇〇〇人が機関掃射によって全滅、会社の存在から戦闘までのすべての記録が公式から抹消され、マコンドが廃墟同然と化すまでの狂乱をえがく。
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