秘密のアルバイト

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私はRenさんから譲り受けたササミのチーズ揚げを口に頬張り、むしゃくしゃしている気持ちも一緒に飲み込む。 そんな時、がっくんが携帯電話をいじりながらボソッと呟いた。 「はぁ?機材トラブル!? ……明日のレコーディングは延期になりました… ラッキー♪ ひな、明日休みだよな?アパートにメシ食いに行っていい?」 「あ、明日!?」 なんで…なんでよりによって明日なの!? 機材トラブルだなんて…ウソでしょ!? 「明日は…えっーと……」 突然のがっくんの申し出に、焦るばかりでいい言い訳が浮かんでこない。 とにかく怪しまれない言い訳をしないと! と考えていたら、がっくんはそんな私を気にも留めず、携帯電話に目線を落としながら言葉を続けた。 「あっ、もう一件来てる……直ったので予定通り行います!? ……んっだよ! ひな、ごめん!明日行けないや…」 「あっ、う、うん… ざ、残念だなぁー/// でも仕事じゃ仕方ないよ!ご飯はまた今度の時ね♪」 ふぅーーーー! 心の中で大きなため息をついた私はカラカラに乾いた喉を潤すため、目の前にあったファジーネーブルを一気に飲み干した。 がっくん、ごめん… でも今回だけ私のウソを許してね… がっくんが私をいじる為についたウソだったことなど知らない私は、ただただ心の中で謝るのだった。 .
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