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「あのお客さん常連さんで、いつも彼女と一緒に来てたんだけど…
実は…彼女に振られたらしくてさ…
その彼女、雰囲気がひなに似てるんだ…」
私はそう言われ、目の前の業務用冷蔵庫にぼんやりと映し出された自分の姿を見つめた。
でも縦長にビヨーンと伸びていて、全然ピンとこない。
「せっかく吹っ切ろうとしてんのに、ひながオーダー取りに行ったら彼女のこと思い出しちゃうだろっ?
俺が後でオーダー取りに行くから、今日はそっとしといてやって///」
トモさんにこんなプライベートな事を話すぐらいだ。
よっぽどの常連さんらしい。
そーゆーことなら私がオーダーを取りに行かないほうがいいよね?
なるべく向こうに近づかないようにしなきゃ!
「わかった!
じゃあ、私は団体さんに専念するね♪
マスターするって大変だね…
お客さんの気持ち、察してあげなきゃいけないんだもんね///」
何も言わなくても、いつも私の気持ちを察して気遣ってくれるトモさん。
どんな仕事でも大変だけど、トモさんにはマスターってお仕事が合っているような気がした。
この時の私はトモさんがどんな理由で私をそのテーブルから遠ざけようとしていたかも知らず、ただただトモさんの仕事ぶりに感心していたのだった。
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